しましまパンツマン
ガラガラガラッ



居酒屋の引き戸が勢いよく開き、暖簾をくぐって現れたのは、黒いコートの襟を立て、程よく焼けた肌に堀の深い顔をした紳士です。


「大二郎さん。お久しぶりやね~」


コートをサッと脱ぎ衣紋掛けにかけ、カウンター席に腰を下ろし、「熱燗」と言ったさりげない仕草までもがビシッと決まります。


上着の内ポケットから、本皮の黒手帳を取り出し、堅苦しく長い名前の会社名のようなものが書かれた名刺を1枚、すっと前に差し出しました。


名刺の角には目にも鮮やかな赤い口紅がついています。


「あ……」

紳士は低く声を漏らしました。


おそらく昼間の電話の主、ハニーに違いない


ダイアさんは思いました。


「この機関によると、ゆるキャラの類に異変が起きているとのことだ」

名刺に書かれた長い名前を指ではじいて、大二郎さんは険しい顔をします。


「異変?」


「詳細はまだつかめていないが、青島県公認ゆるキャラ熊ドンが、ダカラ市へ行った辺りから、異変が起こり始めた形跡が確認されている」


一同は静まり返り、紳士の話を聞いています。


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