しましまパンツマン
――これもまた、この女の幾つもの顔の1つに過ぎない


胸子の体を抱きながら、大二郎は思いました。


「……ねぇ、ズパン……」

そう、呼ばれて顔を上げた大二郎の目に二重に写る胸子の姿。


「……むねこちゃ~ん……」


「悪いわね、ズパン。浜崎の黒角にサジの素を入れておいたの」


「サジの素……」


「やっぱり、よく効くわね。黒手帳頂いていくわよ、悪く思わないでねん♪」



「……むねこちゃ……」


酔いで脱力したズパンの体を振り払い、スッと胸子は立ち上がりました。


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