先輩と友達と愛の薬。
「お疲れ様です!では解散!」

サッカー部の部員はぞろぞろと帰っていく。

私は残って片付けをしていた。

今日は、綾花は塾で早退した。

だから私一人。

「斎藤!」

「せ、先輩!?なんでここに・・・」

「今日、斎藤一人だろ?だから手伝う」

「い、いや、いいですって!帰って下さい・・・!」

なんでなんでなんで、先輩がここに・・・!

今、体育館に二人きり。

心拍数が上がる・・・!

「斎藤、これはどこだ?」

「それは上です。って、先輩・・・!」

先輩に仕事させるなんて・・・!

「いいから。いつも世話になってるし」

もう、先輩は頑固だなあ。

「わ、わかりました。お願いします・・・」

でも、先輩の優しさは嬉しくて。

もしかして私のこと、気にしてくれてる

んじゃないかって・・・思う。

でも、現実は。

綾花が先輩にとって1番だから。

私なんて・・・

「どうした?」

「あ、いえ!なんでもないです!」

こんな気持ちを先輩に悟られる訳には

いかない。

知られたら、私は先輩に嫌われる。

絶対、やだ。

すると、先輩は・・・

私の頭をぽんぽんと撫でてきて。

「いつもありがとな」

「!」

「送るよ。遅いし」

「あ、あの・・・!?」

「いいから。」

先輩・・・、やだ、やめて。

貴方には、綾花という彼女が・・・

私の願い空しく、先輩は私の腕を取って

歩き始めた。
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