狛犬に好かれました。
「マズっ!」
チカゲは私を蛇のような鋭い目つきで睨む。
「お前さぁ、……もう、いいや……」
途中まで言い出すと辞めて、大きなため息をついた。
「なぁ、なんでこっから出るか分かる?」
チカゲは頂きをツンっと押す。
「心に宿る神様が近いって説もあるけどな。昔は殺しなんてざらにあった。もちろん、神もな。そん中で自分の大事な場所をさらけ出す。重大なリスク背負って力を与えるってすごいことなんだぜ。」
「お前にその意味理解できるか?」
まっすぐ私の瞳を捉える。
私は目をぱちくりさせた。
すっと立ち上がると、チカゲはその場を去っていった。
なんだか、すごく悪いことをした気分だ……。