狛犬に好かれました。
雨水とともに大量の涙も一緒に肌を滑る。
「路上でね…ヒック……立ち往生している猫が居てね…ヒック……。助けようとしたのッ…。でも、私…ヒック……、車が来てたの気がつかなくて…ヒック…。それでッ、それでッ、私を庇って……」
「もういいから」
どんどん呼吸が荒くなりながらも話す私をチカゲは力強く抱きしめてくれた。
「ねぇ…ヒック…、私、神様の力…ヒック…あるんでしょ?なんとか…ヒック…なんないの?ッ」
チカゲの目を真っ直ぐ見て問いたが、視線を反らされた。
「死んだやつを生き返らせることはできねぇ」
私はチカゲの胸の中で泣きじゃくった。
ただただ、チカゲは私をずっと抱きしめていてくれた。