狛犬に好かれました。



チカゲにすり寄って胸に顔を埋めた。



いつもはああしろ!こうしろ!って命令ばっかりで、何にもしないのに……



「珍しく、甘えてくんのな」



さっきまで寝ていたチカゲが目を覚まし、私の髪をそっと撫でる。



「昨日は…その…ありがと……」


「別に」


「ところで、今何時?」


「10時ぐらいじゃね?」


「ちょっと、待ってよ。遅刻っ」



慌てて布団から飛び出そうとする私にチカゲは絡ませている腕や足を離さない。



「今日、休日」


「あっ、そっか……」


「なぁ」


「ん?」


「もうちょっと、このまま……お前を感じさせて」



さらにぎゅっと抱きしめる。



「温ったけぇ」



満足そうに笑みを浮かべると、私もつられてほころんだ。



< 18 / 23 >

この作品をシェア

pagetop