狛犬に好かれました。
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重い瞼を開けるとそこには心配そうに見つめるチカゲの姿があった。
「あぁ、よかった」
「なにが『あぁ、よかった』だよっ!無理しやがって……」
チカゲの怒号が飛ぶが、その言葉とは反対に優しく抱きしめられる。
「琴音、ありがとぅ……」
「うん……」
「あんなに嫌がってたのにな……」
「え?」
「お前からすげぇ甘いの出てた。溢れ出してくるしさ」
「甘いってさ、ソイツのこと愛おしく思ってるってしるし」
私は頬をりんごのように真っ赤に染めた。
にやりとチカゲは笑みを浮かべる。