狛犬に好かれました。
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ゆっくりと目を開けるが、まだ視界がぼんやりしている。
何かの重みを感じると、そこには真っ白な布団が掛かっていた。
「起きたのか」
突然の声にぴくっと体が震えた。
声がする方に顔を向ける。
銀髪に獣の耳。
大きなシッポ。
しかも袴姿だ。
畳に寝っ転がるその姿は随分と寛いでいるようだ。
「誰?」
「狛犬」
「んなわけないでしょ!耳付いてるちっちゃい2人は?」
「だから、俺」
「………」
コイツと話していても埒があかない。
仕方ないので探しに行こうかと上体を起こす。
すると、その銀髪男が寄ってきて、私の元に腰を下ろした。
にやりと不気味に笑みを浮かべる。