続・雨の日は、先生と
第3章 私の知らない先生
見知らぬ人
次の日は、先生は用事があって高校に出勤しなくてはならなかった。
「行ってきます。」
「いってらっしゃい。」
うわあ、何だろうこれ。
まるで、まるで―――
「奥さんみたいだね、唯。」
「わ、そ、そういうつもりじゃ、」
「遅くならないうちに帰ってくるから。」
そう言って、片手を上げて微笑むスーツ姿の先生。
スーツの先生は久しぶりで、思わず見惚れてしまう。
「なんだ、唯。私を誘っているの?」
「へっ?!」
じっと見つめていたら、玄関の扉に手を掛けた先生が戻ってきた。
そして、私の頬に軽くキスをする。
「じゃ、行ってきます。」
すごく嬉しそうに目を輝かせて、先生はもう一度手を上げた。
いつもそう。
先生は、私を一方的にドキドキさせて、それで嬉しい顔をして。
自分だけ去って行くんだ。
「夕飯作って待ってます。」
「それは嬉しいな。楽しみだよ。」
そして、やっと扉の向こうに消えた先生。
こうして、これからもずっとここにいられたら。
先生を送り出して、また先生を迎え入れるこの家に。
鼻歌を歌う私の後ろを、しっぽを振りながらついてくるシロ。
そして、冷めた顔でネコ用の出入り口から出て行ってしまうたま。
ずっと、ずっと、こうして―――
「行ってきます。」
「いってらっしゃい。」
うわあ、何だろうこれ。
まるで、まるで―――
「奥さんみたいだね、唯。」
「わ、そ、そういうつもりじゃ、」
「遅くならないうちに帰ってくるから。」
そう言って、片手を上げて微笑むスーツ姿の先生。
スーツの先生は久しぶりで、思わず見惚れてしまう。
「なんだ、唯。私を誘っているの?」
「へっ?!」
じっと見つめていたら、玄関の扉に手を掛けた先生が戻ってきた。
そして、私の頬に軽くキスをする。
「じゃ、行ってきます。」
すごく嬉しそうに目を輝かせて、先生はもう一度手を上げた。
いつもそう。
先生は、私を一方的にドキドキさせて、それで嬉しい顔をして。
自分だけ去って行くんだ。
「夕飯作って待ってます。」
「それは嬉しいな。楽しみだよ。」
そして、やっと扉の向こうに消えた先生。
こうして、これからもずっとここにいられたら。
先生を送り出して、また先生を迎え入れるこの家に。
鼻歌を歌う私の後ろを、しっぽを振りながらついてくるシロ。
そして、冷めた顔でネコ用の出入り口から出て行ってしまうたま。
ずっと、ずっと、こうして―――