続・雨の日は、先生と
心の底から欲しかった、先生との穏やかな日々。
今、それを私は手にすることができた。


正直、複雑な気持ちもある。
だけど、難しいこと、考えても仕方がない。


先生が出した結論なんだから。
きっと、正しいんだ。



奥さんのこと、先生はこれからもずっと背負っていかなくてはならない。
そして、それは私も同じなんだと、うっすらと思う。



私が隣にいていいのかな、って思ってしまうこともたまにある。



だけど、そんなことに答えはない。
いくら考えたって、結論は出ない。



不幸にも、先生の奥さんと幼い息子さんが、事故に遭った15年前。
そして、それからずっと、生き永らえた奥さんの元に、通い続けた天野先生。

でも、やっとやっと決意して、奥さんをご両親に任せ、婚姻関係を破棄した。



その後の話は聞いていない。
だけど、奥さんのご両親はきっと。
延命措置を望まなかった、彼女の遺志を汲んだのだろう。

15年経った今、やっと。



先生の誠実さが、結局は誰もを苦しめた。
そして、その苦しみに終止符を打つきっかけが、私だったなんて。
そんなこと、あっていいのかな、って思う。



先生に愛される価値、私にあるのかな―――



でも、そんなこと考える以前に、先生と過ごす時間はあまりにも幸せで。
私は、結局いつだって、まあいっか、という結論でごまかしてしまう。


先生が、好きで。

あまりにも大好きだから。

もう二度と、手放したくないという思いが、あまりにも強くて。
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