続・雨の日は、先生と
スーパーで買い物をする。

もし、何事もなく帰れたら、もう大丈夫ということだろうか。

彼女は、私を試したのか。

一週間、耐え抜くことができるかどうか。


そんな、都合のいい方に考えたくなるけれど。

そんなわけないよね。


でも、もし今日。

無事に帰れたら。

先生に夕飯作ってあげよう。

何がいいかな。


夕飯のメニューを思い浮かべながら、買い物をする。

あ、そういえば高校のとき。


先生との初メールを、突然思い出した。




――『今日の夕飯は何ですか?』




――『しゃけ』




待って待って、諦めて眠ろうと思った時に。

先生は、たった一言で返して来たんだっけ。


先生が病気だと勘違いしていたあの頃。

たった一言の返信でも、ものすごく嬉しく感じた。



しゃけ、にしよう。



きっと、先生と食べれば、何の変哲もないしゃけも、幸せの味になる。

私は、2切れ入っている鮭のパックを手に取って、知らないうちに微笑んでいた。
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