続・雨の日は、先生と
「ねえ、唯。先生に、連絡した方がいいんじゃないの?」


「え?」


「いくら先生が無責任だからって、子どもができたって言ったらさすがに、」


「先生は、無責任なんかじゃない!」


「でも、唯、」


「待ってるの。私、まだ待つの!」



母に言われて、思わずむきになってしまった。

それは。

私も、怖かったからだと思う。


先生を信じてる。

いつか絶対に、迎えに来てくれるって。

だけどその反面で、心細さはどんどん増していく。

時間が経てば経つほどに、先生はもう、私のことなんて忘れてしまったのではないかと―――


連絡をしないのも、怖いから。

すぐに連絡を取ればよかった。

時間が経つほどに、先生に連絡するのが怖くなる。

ましてや、子どもができただなんて。

そんなこと、言えない……。


だから、先生の家を出てきたあの日から、スマホはカバンの奥底で眠っているんだ。

多分もう、電源も切れてる。

それを開けば、何かが決定的になってしまうような気がして―――



「ばかね、唯。」



母にそう言われて、私は固く目を閉じた。

わかってる。

私は愚かだって。

先生のことを信じたいだけで、そこに何の根拠もないってことだって。


でも、それでも。

二人で過ごした日々。

これまで歩んできた道のりを思うと、先生のことを信じざるをえなくて。


臆病な私は、ただ待つことしかできなかった。
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