続・雨の日は、先生と
「ただいまっ!」


「おかえり、唯。」



お母さんと、遅れてお父さんが現れる。

私は、先生の背中を押して、一緒に玄関から入った。



「ど、どうも。初めまして。」



口ごもる先生に、両親が唖然としている。

私だけが、にっこりと笑っていた。



「お父さん、お母さん。こちら、天野陽さんです。」


「あ、天野です。いつもお世話になっております。」


「あんたが先生!?」



母の声に、先生は竦み上がる。

その様子が面白くて、私は横で、必死に笑いを堪える。



「どこ行ってたの!唯を一人にして!」


「すみません!本当に申し訳ありませんでした。私事で……、」


「ちゃんと説明しなさいよ!この子に、寂しい思いさせて!本当なら門前払いだけど、あなたには責任を取ってもらわなきゃならないから、」


「責任、といいますと?」


「はっ?あんた、」


「お母さん待って!まだ言ってないの。」



はあ?という顔になる母。

そして、何が何だか分からないという表情の先生。



「陽さん、大事な話があるの。」


「……なに?」


「赤ちゃんができたの。」



先生は、言葉を失った。

そして、見る見るうちに嬉しそうな顔になって―――



「嘘、だろ?ゆい、」


「嘘じゃないよ。」



先生は、何も言えなくなって。

それで、予想外のことに、何故か泣いていた。

その目から、ぽろぽろと大粒の涙をこぼして。



「ってことだから。唯をよろしく頼むよ、先生!」



母が、雰囲気をぶち壊すように言って。

先生は、泣きながら笑顔で、頷いた―――
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