続・雨の日は、先生と
番外編
「いたーーーいーーー!!!いたいいたいーーー!!」
「唯、頑張れ!赤ちゃんも頑張ってるから。な!」
痛がる私を、必死になだめる陽さん。
男の人は、出産のときに何にも役に立たないと言うけど。
でも、陽さんはやっぱり違う。
確かに、痛みがどうこうなるわけではないけど。
陽さんがずっと、ずっと隣で手を握ってくれていたから。
温かい言葉をかけ続けてくれたから―――
「おぎゃ、おぎゃ、」
「天野さん、よく頑張りましたね!元気な女の子ですよ!」
「ふあああ~!!!」
胸の上に、生まれたばかりの我が子が載せられる。
私のお腹の中で、長い間一緒だったから。
初めまして、な感じはしないけど。
なんだか感動して、声にならない声を上げてしまった。
「唯、よくやった!」
なんだ、陽さんの方が泣いてる。
私より、赤ちゃんより泣いてる旦那さんなんて―――
ううん、そんな陽さんが、世界中の誰よりも、大好きなんだ。
「陽菜(ひな)。」
そっと呼んでみる。
赤ちゃんの名前。
結局私が譲らず、赤ちゃんの名前には、陽さんの陽を入れた。
陽さんみたいに温かい、太陽みたいな女の子に育ってほしいから。
「陽菜。」
陽さんも、そっとそっと、赤ちゃんに語りかける。
ああ、なんて可愛いんだろう。
陽さんに似て、すっと通った鼻筋の赤ちゃん。
きっと、すごく美人さんになる―――
お母さんは、陽菜のこと、何があっても守るよ。
これからもずっと、ずっと。
陽さんと二人で、守っていくよ。
そして、いつの日か陽菜も。
素敵な人に出会えるといいね。
どんな試練にも、敗けない愛を育めるといい。
そして、いつか陽菜が大人になったら、聞かせたい。
私たちの、ストーリーを。
小さな赤ちゃんを見ながら、私はずっとずっと先のことまで考えてしまう。
「唯、陽菜、愛してる!」
感極まって、そんなことを言い出した陽さんに。
病院の先生たちが、笑ってる。
ああ、なんて幸せなんだろう。
「私も、愛してるよ。」
噛みしめるように言った私に。
知らないはずの玲さんが微笑みかける姿が、ふと、脳裏をよぎった。
「「あ」」
陽さんも、きっと感じたんだろう。
玲さんが、私たちのこと、祝福してくれてるって―――
今度は陽さんと一緒に、玲さんのお墓参りに行こう。
なぜだかふと、そんなことを考えた。
おわり
「唯、頑張れ!赤ちゃんも頑張ってるから。な!」
痛がる私を、必死になだめる陽さん。
男の人は、出産のときに何にも役に立たないと言うけど。
でも、陽さんはやっぱり違う。
確かに、痛みがどうこうなるわけではないけど。
陽さんがずっと、ずっと隣で手を握ってくれていたから。
温かい言葉をかけ続けてくれたから―――
「おぎゃ、おぎゃ、」
「天野さん、よく頑張りましたね!元気な女の子ですよ!」
「ふあああ~!!!」
胸の上に、生まれたばかりの我が子が載せられる。
私のお腹の中で、長い間一緒だったから。
初めまして、な感じはしないけど。
なんだか感動して、声にならない声を上げてしまった。
「唯、よくやった!」
なんだ、陽さんの方が泣いてる。
私より、赤ちゃんより泣いてる旦那さんなんて―――
ううん、そんな陽さんが、世界中の誰よりも、大好きなんだ。
「陽菜(ひな)。」
そっと呼んでみる。
赤ちゃんの名前。
結局私が譲らず、赤ちゃんの名前には、陽さんの陽を入れた。
陽さんみたいに温かい、太陽みたいな女の子に育ってほしいから。
「陽菜。」
陽さんも、そっとそっと、赤ちゃんに語りかける。
ああ、なんて可愛いんだろう。
陽さんに似て、すっと通った鼻筋の赤ちゃん。
きっと、すごく美人さんになる―――
お母さんは、陽菜のこと、何があっても守るよ。
これからもずっと、ずっと。
陽さんと二人で、守っていくよ。
そして、いつの日か陽菜も。
素敵な人に出会えるといいね。
どんな試練にも、敗けない愛を育めるといい。
そして、いつか陽菜が大人になったら、聞かせたい。
私たちの、ストーリーを。
小さな赤ちゃんを見ながら、私はずっとずっと先のことまで考えてしまう。
「唯、陽菜、愛してる!」
感極まって、そんなことを言い出した陽さんに。
病院の先生たちが、笑ってる。
ああ、なんて幸せなんだろう。
「私も、愛してるよ。」
噛みしめるように言った私に。
知らないはずの玲さんが微笑みかける姿が、ふと、脳裏をよぎった。
「「あ」」
陽さんも、きっと感じたんだろう。
玲さんが、私たちのこと、祝福してくれてるって―――
今度は陽さんと一緒に、玲さんのお墓参りに行こう。
なぜだかふと、そんなことを考えた。
おわり