短編集
「私が何にも知らないと思ったわけ?」
 葉月から離れると急いで昇降口に戻って鞄を持った。
 傘立てから自分の傘を探して今更な感じもするけど傘をさして帰ろうとしたのに、傘が無い。

 最悪すぎる。
 傘盗られると地味にへこむ。

「入れよ」
 私が少し落ち込んでいると、葉月が近付いてきて言った。

「サンキュ」
「傘料百円な」
「なんかおごって」
「何で俺が!」
「へーふーん……」

「……すみません、奢らせて下さい。……つーか、夏弥酷いぞ!鬼畜!」

 小心者で馬鹿でうるさくて……。
 やっぱり葉月はこうでないと。



end
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