短編集
山、山、山!
どこもかしこも山山山!

最初の印象。

思ったのはそれぐらい。

あと、紅葉しかけの山が何だか綺麗。
全部染まったらどれだけ綺麗だろ?

って言っても、そんな綺麗なんて感じる余裕なんて私になかったな。


おばあちゃんの家に来て三日目の秋晴れの日…。

「空ちゃん」

私が縁側でぼーっとしてると、おばあちゃんが私を手招きした。

「おばあちゃん、今から集会行ってくるから留守番頼むね。」
「うん……いってらっしゃい……」

おばあちゃんは梨があるから。とか、お茶が冷蔵庫にあるから。と行って出かけた。

お母さんに聞くところによると、おばあちゃんはそうとう厳しかったらしい。

でも、十年前におじいちゃんが亡くなってからというもの、すっかり丸くなっちゃったんだって。

やっぱり何かのきっかけで人の性格って変わっちゃうんだ…。


笑えてきた。

私もその一人だと思うと…。

笑いと同時に涙で視界が滲んだ。

バカだ…
あんなことで悩むなんて…
私が傷つく必要なんてないのに…

ふと前を見ると、低い垣根の後ろにいる男の子と目があった。
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