短編集
秋斗君のまつげすっごく長い。

沈黙の空気を纏いながら私と秋斗君は坂道を歩いていた。

私の周りはうるさいのばっかりだったから…あいつも…。
考えちゃダメなのに…ふとしたことで考えちゃう。

考えると…涙が出てきそうになるのに…。

トントンと方を叩かれて、秋斗君の方を見ると、秋斗君がノートを私に差しだしてきた。

「『どこから来たの?』って……喋れないの?」

私が聞くと、秋斗君はうなずいた。
だからさっき何にも喋らなかったんだ。

「私は東京から来たの。秋斗君はずっとここ?」

『六年前に東京から越してきたんだ。』

「そうなんだ、一緒だね。」

何か少しでも繋がりがあると親近感がわいちゃうもんだよね。
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