短編集
あの日以来、私と秋斗君は夕方、秋斗君が学校が終わってから色々なところへ行った。

土手へ行ってススキを摘んだり…

川で魚を釣ったり。


こんなのんびりした優しい時間なんて今まで過ごしたことなかった。

いつまでも続いてくれればいいのに…。

別れの時は近づいてた。



「秋斗君!見て見て!栗きんとん」
『作ったの?』
「うん。おばあちゃんと一緒に♪おいしい…?」

私が聞くと、秋斗君は笑顔を返してくれた。


「空ちゃん、お母さんから電話だよ」

 久しぶりのお母さんからの電話に私はいやな予感がしていた。

「もしもし?うん、元気だよ。うん…え?……分かった。」

『どうしたの?』

少し放心状態だった私を秋斗君は心配してくれたけど…言えない。

「何でもないよ」


ホントは何でもなくはない。でも、何でもないとしか言えない。


どうしよう……帰りたくないよ……。
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