短編集
「華世ちゃーん」
 私は前の席の男子、親友の葉月を見てため息をついた。

 葉月は今、恋をしてる。
 相手はクラス一可愛い華世。
 完全に一方的な片思い。

 華世は私と同中で結構仲はいい。中学の時には同じグループに居たし。意外って言われるんだけどね。

 私も思う。

 華世は可愛くて性格も可愛くて良くて、ちょっと天然で何に対しても一生懸命な子。
 私はなんて言うか……華世は守られる側だとしたら私は守る側。

 守られるなんて虫酸が走る。
 私はそんなタイプ。

「葉月、華世が迷惑そうな顔してんじゃん」
 私が言うと、華世は可愛く苦笑。
 ちょっと癒された。


「いや、そんなこと無いって!俺の愛の大きさにちょっと土惑ってるだけだ!」
 立ち上がって愛の大きさを手で表すけど、全然大きくない。手も全然伸ばして無いし。

「アホ。大きいのか小さいのか分からないその愛が迷惑」
 葉月は夏弥(かや)〜!と言うと、私の方を向いてイスに座った。

「どうしたら華世ちゃんにこの想いが伝わるんだろう……」
 葉月はさっきまでテンション高かったのに、急に悩みモードに入る。

 私は特に用事も無いけど、ケータイを取り出すとなんとなく開いた。
 画像整理でもしようかな。
 そう言えば……最近アドレス帳の中身減った気がする。中学の時同じだった男子のアドとか。

 ケータイ壊れたかな?

「夏弥ちゃーん!何か言えよー」
「気持ち悪い!」

 私に聞かれても困る。
 恋愛事には私は疎いから。
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