短編集
「座ってくんない?」

いつもと違って脱力した声色で言われて、なんだか妙な感じ。
何かイヤなコト言ったっけ?
古典って言っただけなのに……。


私が首を傾げていると、脱力系圭太君が景平君を引っ張った。

「ゴメンね、那央ちゃん」
「え、あ…うん」

バイバーイと手を振る理緒に、幸せそうに微笑みながら振り返す圭太君。
その隣を歩く景平君は一瞬私を見ると、すぐにそらした。

変なの……。


「那央〜?景平君に何言ったの?」
「何にも……」

古典しか言ってないもん。
いっつも意地悪言う景平君だけど……なんだか心配になってきた。

「どうしよう?」
「別にいいんじゃない?」
「でも……」

すると、理緒が弁当箱を片付けて立ち上がった。

「圭太に聞いてきてあげる。」
「理緒……ありがとう。」
「いいのいいの。那央には借りがあるからね」

そう言って圭太君の所へ。

なんて言うか……理緒曰く、圭太君と理緒が付き合ったのは私と景平君のおかげらしい。

理緒は意地悪言ってくる景平君から私を守るみたいに前に立ってくれて、圭太君は景平君を止めてた。

なんか息があったんだって。
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