短編集
「ねえ、立ってみなよ」
「イヤだ」

頑として立とうとしない景平君。
何で立たせようとしているか分からないけど、なんで立たないんだろう?

「あれー?何で立たないの〜?もしかしてぇ…背」
理緒が言うと、景平君が机を叩いて立ち上がった。
あ、カマかけたんだ、理緒。
背?背がどうしたんだろ?

「おい、圭太!おまえの女どうにかしろ!」
「そう言われても……」
 圭太君は理緒に適わないみたい。
私はなんとなく景平君に近付いて隣に立ってみた。


「私とあんまり変わらないんだ…」

呟くと、景平君が勢いよくこっちを向く。その後ろで理緒が爆笑で景平君は苦笑い。
 今まで全然気付かなかった。隣に立ったこと無かった気もする。

「あのさ、何でさっき……」

私が言うと、景平君は廊下に走って行く。
「景平君!」
「追いかけてあげなよ」

理緒に笑いながら言われて、曖昧に頷くと廊下に出た。

何でだろ?
……背?

もしかして……背の高さを気にしたとかかな?

「なんか、カワイい……」
 思わずそう呟いた。気にすることないのに。
でも、男の子にとったら大きな問題だよね。

私より高い女の子いっぱいいるのに……一々ショック受けるの?
精神擦り切れちゃうと思う。
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