短編集
「景平君?」

物理室のドアを開けると、景平君が座ってた。

「……なんだよ?」
「あ、うん。うーん……」

なんて切り出せばいいんだろ?考えとけばよかった……。

長い沈黙。

 景平君は大きなため息をつくと話し出した。
「……背、低いの笑えるだろ?」
「え?」

どうしよう?さすがに、うん。とは言えないよね。
そんなに低いと思わないし。今までそんなこと気にならなかった。

「そんなことないよ。私、背が高い方だし」

すると、景平君はまたため息をついた。

「……別に他のヤツはどうだっていい。」
言葉の意味が理解できなくて、首を傾げる。

「よくわかんないけど、背の高さなんて気にしなくていいよ。私のお兄ちゃんなんて、彼女さんより背が低いから」

結構違うから笑えちゃうんだよね……。ごめんね、お兄ちゃん。

「マジで?」
「うん、写メ見る?お兄ちゃんから送られて来たから」

ケータイを探したけど……無い。あ、教室だ。

「ごめん……置いて来ちゃった。」

私が言うと、景平君が笑いだした。

「見せなくていいって。俺より高いわけじゃないし」
「あ、そうだね。……何が?」

景平君は私の頭をぽんと叩くと、物理室を出た。

……よく分からないけど、顔が熱い。
 景平君の笑顔が頭から離れない。




END
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