漫画家の君(仮)
「……そういえば…さ
ノート見たって言ったよね…?」
声のトーンが少し下がった
多分、真剣な話なんだろう…
そう考えるとノートを見てしまったのが
申し訳ない
「……ごめんな」
すると長谷川が
驚いた顔でこちらを見た
「いやいや!謝んないで!
忘れた私が悪いんだから…!」
そんなことない、と言いたかったが
微笑んだ長谷川を見てそんな言葉を
口に出すことが出来なかった
「私…ね、山代先生が好きなんだ
皆の人気者であと、優しくて
私にとって山代先生は憧れなんだ!」
俺はその話を黙って聞いた
その時に何故か胸の奥がチクっと傷んだ
「でもね…
やっぱ先生にとって私はただの生徒」
「………」
「叶わない恋だって分かってる
だけど自分の気持ちに嘘はつけないんだ」
その時の長谷川の目は驚くほど真剣で
俺はそんな長谷川の力になりたいと思った
「……ごめんね?
こんな話しちゃって…興味ないよね」
いつもの笑顔で笑った
俺は首を横に振ってから
“そんなことない”と言った
長谷川はまた笑顔で笑った
・*・*・*・*・*・*・*・