好きだったから
あーぁ。緊張するわー。
「舞花入ろっ…か」
「う、うそっ…なんで宙が?」
「ん?舞花知り合いがいましたかー⁇」
「ねー。舞花…まぃ…」
「あっうんん。全然知らない人」

うんん。知らない人なんかじゃない…あれは宙だ…あの大好きだった横顔は今も変わってないんだね…
で、でもなんで宙が?
引っ越しちゃったじゃん…

あたしの前の席が宙…
「ねぇ?宙?」
「あぁ?誰?」
「そっか…忘れられてるよね…6年会ってないもんね…」
「なに言ってんだコイツ…ばかみてぇ」
「宙思い出して…あたし舞花」
「はっ?ま、舞花?」
一気に宙の表情が変わった…
「うん!佐藤舞花!久しぶり宙‼︎」
「あぁ。ってかよくお前みたいな馬鹿が私立校なんて入れたな」
「うん…勉強頑張ったし…それよりなんで宙が?ここに?」
あたしが問いかけると空の顔が沈んで行くのがわかった。やっぱり言わなきゃ良かったかな…
「俺のかぁちゃん」
「真美さん?」
「あぁ。去年突然倒れて意識不明のままあの世へ行っちまった」
えっ…うそっ…真美さんが?

「そんでこの学校の近くにばーちゃん家があるから引っ越して来た…」
「そ,そうなんだ…」
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