せつな
初日から、遅刻なんて…。

いそげぇ~ーーー!!

入学式当日、寝坊してしまった。

かけておいたはずの目覚ましは、午前3時をさしたまま、止まっていた。


門を潜り抜け、あとちょっと。


ドン。

誰かにぶつかってしまった。

「すぃません。」


私が、謝り、顔をあげると、そこに、いた。


多分、運命なんだって、直感した。


そこにたっていたのは、私の初恋の相手。


保育園のころ、なかなか馴染めない私に、優しくしてくれた人。


浜口 流星


顔は、そのまんまだけど、髪は、金髪になっていて、制服は、乱れていた。

キリッとした目、スラッとした鼻、180はある、身長。

でも、面影は、あのときのまま。


子供の頃は、年なんて関係なく遊んでいたから、わからなかったけど、

すごく、カッコいい。

いろんな思いが、頭を駆け巡った。


「だいじょぶ?入学式でしょ?急がなきゃいけないじゃん!」


先輩の声で、我に返る。

「すみません。すみません。」


ついたごみを払い、急ごうとすると、

「それとも、、、、一緒に、サボる?」


「えっ、、、?」


「ぅぅん…。いいや。気を付けてな」


「はぃ……。」


急がなきゃという現実に一気に引き戻された。


一目散に、玄関に向かう。
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