月城学園の番外編
「わたし、随分とここに来ていない気がする…」鈴美が言うと、
「…そうだな。俺が次期当主、鈴美が許嫁って分かった時に母さんと来たぐらいだもんな…」鈴美とはここに来ることがあまり無かった。
俺の家から車で一時間位走ったところにある、ここだけ、緑が良く残っている。…時宮家の墓。墓の掃除や線香に火を着けて父さんが良く母さんと飲んでいた日本酒を置くと膝を折り両手を合わせて父さんに話しかけた。
─父さん、暫く会えなくてごめん。俺、一番大切な人を見つけて、嫁にすることが出来たよ。30代目当主としてまだ一日も経って無いけど鈴美と一緒に時宮を支えていくよ。…これからも見守っていてくれないか?─
『─久しぶりだな。酒ありがとう。冬哉、昨日の事は観ていたよ。時宮の事は大丈夫。鈴美ちゃんを大事にするんだぞ?雪子に宜しくな。』
─あぁ、分かった。伝えておく。…そのせいで泣かれても俺はどうしようもないしその時は父さんの役目だから。─
『…おいおい薄情だな。それが父親に言う事か…?』と父さんが呆れた感じで言った。
─夢の中で会える口実になるだろ?─
『ははッ違いない。…鈴美ちゃん、聞こえるかい?』
─はい。聞こえます。─鈴美が会話に入ってきた。