夢見る乙女
「…とまあこの様に、ここの住人は人間ではありません。様々なものに形を変えることが出来るんです。」

なるほど、いよいよ夢の国っぽくなってきた。
ここがこういう場所だから、いきなり影を見ても恐怖を感じなかったのかもしれない。

「イルマさんも?」
彼も普段は影なのだろうか。
しかし、イルマの返答は否だった。

「いいえ、私は違います。最初にも言いましたが、私は、夢の国の案内人。普段はこの世界にはいません。」
苦笑いでそう言うイルマは、これ以上の詮索をするなと言うように顔を背けた。

夢ってのは自分で思ってたよりも複雑らしい。
じゃあ、どこにいるの?
とは何となく聞けなかった。


「まあええやん、なあお嬢さん名前は?」
微妙な雰囲気を断ち切るように珠樹が話を変える。
「古賀明日香です。」
「明日香ちゃんかぁ。なんの悩みがあってここに来たん?」
「え?」


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