忘れられない夏〜君との思い出〜
スタンドにいると…試合後に必ず秀哉君が来てくれる。



「見るよ。いよいよ決勝戦だね」



私はグランドのショートのポジションを見ながら言った。


だから、後ろにいる秀哉君の表情がわからない。



「俺さ…わかったんだ。あの日、夢叶が泣いて“私のせいだね”って言って意味を」



県大会、前日での話しか…。

「ごめんね、泣いて」


「え?」


「私が泣いてるのわかってたんでしょ?」


そう聞いた私の声も少しだけ、震えていた。


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