とびっきり、片思い。



まるで夢を見ているような感覚になって、ベットに寝っ転がって天井を仰いでいると、急に部屋の戸が開いたので、飛び起きた。



母が立っていて、眉毛を下げたような表情を浮かべていた。



「さっきは、少し言いすぎたと思ったの。未紗、ごめんね」


「ううん。私の方こそ急に席を立ってごめんなさい」



でも今は、それどころではないことを母に伝えた。



「やっぱり、あれはカナタだったの!」


「え?」


「コンビニでむすびの譲り合いをしたことを、さっきの番組中にエピソードとして話してくれたの!」


「本当に?」



私が頷くと、母は見たかったなと言ってショックを受けていた。



「もしかして泣いた?」と、母に気づかれて恥ずかしかったけれど、小さく頷いた。


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