とびっきり、片思い。
「それよりさ、ハートフルテレビのタカトシも格好よかったぁ」
有村さんがお手洗いに席を立つのを見届けて、2人きりになった空間で、溶けてしまいそうな笑顔で百合子は言った。
「あれ、ずっと生放送で見れるっていうのが嬉しいよね~」
その言葉にコクコクと頷いた。
8月下旬に放送された、同番組内でのカナタ主演のドラマを、少しの後悔を感じながら見た。
ぶつかるシーンの相手役は、私よりも年上っぽい人で痩せて綺麗な女の人だった。
撮影のとき、やっぱりカナタも彼女のことを“綺麗な人”だとか思ったのかなとか、また色々と狭い世界で考えてしまう。
バカバカ、こんな自分が嫌いだ!!
ポカポカと自分の頭を軽く叩いたら、百合子が隣で驚いたような顔をした。
「どうしたの?」
「普段は穏やかな時間が流れていても、急に自分のことが嫌になる。そういう難しい年頃なのよ」
「未紗、意味がよくわかりません」
「良いの、わかんなくて。実際のところ私にも良く分かんないんだから」
座っている膝の上に頬杖をついて遠い目をした。