とびっきり、片思い。


そのうち、女子リーダーの練習再開を告げる掛け声が聞こえてきて、森りんはすっと身軽に立ち上がり、石の段差に座ったままの私よりも少し前に出た。



そして振り向いて言う。



「今はダンス頑張ろう。みんなで良い作品と思い出、作りたいもんね!」



彼女の笑顔を見ていると、自然と私も笑顔になった。


その一瞬は、気持ちを軽くしてくれて、息がしやすくなった。


「行こう」と言って、手を差し伸べてくれた。


その手を握り立ち上がる。



解消しない色んな気持ちはあるけれど、中学生活最後の体育祭は目の前に迫っていた。



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