とびっきり、片思い。
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体育祭当日の天気は快晴で、いつもは静かなグランドも熱気に満ちていた。
沢山の歓声を浴びて、思いっきり地を蹴って走ったあの感覚の余韻が心地よく、爽快だった。
夕陽が陰りはじめた頃、片付けを任されたパイプ椅子を持って体育館裏の倉庫に行った。
選抜リレーの最中に足を痛めた中田が、誰の気配もない倉庫前で幹部をおさえて座り込んでいた。
心配になり小走りに駆け寄って声をかける。
「大丈夫?」
「あ、ああ」
顔を上げて私を見るなり鼻で笑った。
「何だ妖怪か」
「私で、残念でしたー」
ふんっだ!
可愛くないなぁ、もう。
一旦椅子を倉庫に入れて、再び中田のところに行く。