とびっきり、片思い。




「はあ?」



大きな口を開けている。


「ほら、いいから掴まって」


お構いなしに手を差しのべると、「やだよ。マジでやめろ」と言って顔を反らしたから、渋々手を引っ込めた。


そして、よろけそうになりながらも自力で立ち上がった。



「ほら見てみろよ。全然大丈夫じゃねぇか。……ふふ」



そう言って胸を張っているが、意地を張っているように見えて仕方がなかった。


本当に大丈夫だったらいいんだけどな。


どうしようかと思っていると、タイミングよく中田と仲良しの千田が、両手にパイプ椅子を抱えてこちらに向かって来ているのが見えた。


中田は、痛む方の足のかかとをあげて立っていた。



やっぱり、地に足をつけられないくらい痛いようだ。



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