とびっきり、片思い。
スーパードッキン!
例えば、この思いに名前を付けるとしたら何だろう。
憧れ、恋...
どちらも違うのかもしれない。
もしかしたら、そのどちらでもあるのかもしれない。
その答えは見つからないけれど、彼への思いは積もるばかり。
放課後、下校しようと靴箱にいると、同級生で部活が一緒の眞田 咲(さなだ さき)が通りかかった。
「未紗、今日は部活出ないの?」
私は「うん」と答えながら靴を履く。
「やったね。うるさいのが居なくて超ラッキー!どうせ、昼寝するために帰るんだろー?」
鼻で笑う咲を横目でギロりと見て、低めの声を出す。
「毎週金曜日は、習い事だっていつも言ってる」
「へいへい。分ってますよ。気を付けていってらね」
へらへらと手を振りながら、音楽室のある4階へと階段を駆け上がって行ってしまった。
咲とはクラスは違うが、吹奏楽部が一緒なんだ。
私がフルートで、咲はサックスを担当している。