とびっきり、片思い。
何?と首をかしげると、中田は緊張した面持ちで口を開いた。
「あのさ、俺、ずっと伝えたかったことがあったんだ」
「うん」
「すぅ…」
深呼吸ですかい!
お腹いっぱいに空気を入れて、中田はよしっと気合いを入れている。
その姿を前にして、何故か私まで緊張してきた。
「俺、お前のことが好きだ」
「ほ?」
「いや、“ほ?”とか言われても困るんですけどぉ」
中田は顔を真っ赤にしている。
私は唇を微かに動かすのがやっとだ。
グラウンドからは、テニス部がラケットでボールを打つ音と掛け声が聞こえていた。