とびっきり、片思い。
人生初の告白を受け、ドキドキしている鼓動をどうにか落ち着けようと必死になりながら、机の中の教科書たちを急いで鞄の中に入れ込んだ。
「未紗ちゃん、今...」
「あ、もう帰るよ。森りんも忘れ物あった?」
何か聞かれそうで怖くて、その声を遮るように明るい声で言った。
「うん。忘れ物はあったよ」
「良かったね!」
「それより今、告白されてたよね」
森りんが真っすぐに私の目を見て聞いた。
「未紗ちゃんは、中田の気持ちに答えるの?」
「分かんない。急すぎて今かなり動揺しちゃってる」
これが今の精一杯だった。
こんな時のにも、私の心にはカナタがいて、動かしたくても動かすことのできない錘のように位置を譲らない。
「まさか、今もカナタのことを考えてるの?」
心の中を読んだように彼女が言ったから、私は躊躇しながらも頷くと、返ってきたのは冷たい声だった。