とびっきり、片思い。
「ありえない!」と強く言い放ったその言葉と視線が、まるで氷の矢のように飛んできて、胸に突き刺さった。
「現実で中田は勇気出して告白してるのに、まだ架空ばかり思っているの!?」
いつもの優しい彼女は今はいない。
私はショックのあまり何か言い返すことも出来ず、フリーズしてしまった。
「未紗ちゃんのことが大切だから、はっきり言わせてもらうね。今をちゃんと生きれていないのに、カナタに会えるとか、好きだとかあり得ないと思う。今の未紗ちゃんは、現実から目をそらして逃げてるだけだよ!!」
勢いよくそこまで言って、教室から飛び出して行った。
私は追いかけることもせず、その場に立ち尽くした。
頬に、静かに涙が伝ったことにも気づかなかった。