とびっきり、片思い。
千田を鬱陶し気によけた中田は、こちらをめがけてやってくる。
どうしよう。
普通に挨拶したいのに、意識しちゃって出来ないよ。
視線を逸らすように俯いていると、頭上から“おはよう”と小さく聞こえた。
それは中田が私に向けて言ってくれたものだと分かり、勇気を出して下を向いたまま小さくおはようと返した。
その時、前の席の桜ちゃんが登校してきて、鞄を持ったままニコニコ笑顔を浮かべて私の前に立った。
「中田から告られたんだってね」
「うん」
「さっき、そこで千田から聞いたの。予想的中だね!」
嬉しそうなピースサインを向けられた。