とびっきり、片思い。



そのあとはお好み焼きと飲み物と、焼き鳥も数本買って、人通りが少ないところまで移動し、石垣に腰かけた。


森川が去年見つけた落ち着けるスポットのようだ。


確かに、さっきまでの喧騒が嘘のように静かな空間だ。


焼き鳥は分けて食べるために、フードパックの中で分けてくれている。


その横でコーラの缶を開けて飲んだ。


「はあー、うめえ…」

「カラオケ大会に射的にと、色々お疲れ様でした」


どうぞと差し出してくれる焼き鳥と箸をありがたく受け取って、早速頬張った。それからお好み焼きも。


「んー!美味しいね!」

「美味いな」


味が身体に染みわたっていくようだ。


屋台で買った食い物にこんなにも満足したのは初めてだ。


もしかしたら、これだけ幸福感に包まれたのは、隣で笑ってくれる奴がいたからかもしれない。


久しぶりに心から楽しいと思えた時間だった。



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