とびっきり、片思い。
ポカンとしていると、中田は封筒の中身について説明をしてくれた。
「道場の師匠が通ってる整体に、カナタってやつも通ってるらしいぜ。師匠のあとに施術を受けてることが何回かあって、待合スペースでこの前も会ったってさ。木曜の確か午前中だって言ってた。そこの整体の地図を、封筒に入れておいたから」
「えええっ?!」
つい大きな声を出してしまった。
事の重大さに頭の回転がついていけない。
私は震える手で、中から紙を取り出して読んだ。
整体の場所は品川区と記されている。
「信じられないくらい嬉しい。ありがとう」
「ふふっ」
「でもどうして?私がカナタを好きなの知ってたの?」
しっかり伝えているのは、百合子と森りんくらいだ。
あ、ひょっとして、森りんから聞いたのかな。
「俺の妖怪アンテナがキャッチしたのであーる。ハハハッ!」
胸を張って豪快に笑いだした。
凄いだろうと同意を求めてくるけれど、苦笑でその場をやり過ごした。
中田がくれた優しさが、身体を巡る。
「あ、じゃあ俺、森川のこと待たせてるから行くわ」
私は小さく手を振った。