とびっきり、片思い。


「そう。そのカナタにね、さっきコンビニで会っちゃったみたい!」


「ふーん」



ドキドキした気持ちを一気に覚めさせるような答え方をされた。


「な、なんで驚かないの?あの国民的アイドルのカナタだよ!」



「え、ああ、マジか!」


ワンテンポ遅れて、やっと事の重大さをやっと理解してくれたのか、中田は背中を反る様なオーバーリアクションをとった。



「信じてくれないかもだけど、ひとつだけ残ってたむすびの譲り合いをしたの!」


そう口にしながら気づいたけど、信じてもらえるかどうかもわからない、夢みたいな話をよりによって中田に一番にしてしまった。


「ふーん」とか「へー」とか言いながら、にやにやと笑っている。



「あり得るよな。ここ、東京だし」



あまりにもあっさりと返すから、私も変に冷静になってきた。



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