とびっきり、片思い。


たまには弄ってみたくなる。


「あ、ひょっとして、今照れた?」


「ち、ちげぇよ!バーカ。はやくこねーかな、電車」



呟いて、唇を尖らせた。



「そうだ。妖怪ツインテールってさあ」


「何よ?」


「好きなやついんの?」


「......」



つい、言葉が出ずフリーズしてしまった。


中田が突然ぼそっとした小さな声で言うから、ちょっとだけドキッとしてしまった。


「どど、どうしてそんな質問?」



私は逆に声量が大きくなってしまった。


明らかに挙動不審になっているのを気づかれたと思う。


「うわっ!いるんだな。絶対いるな」


反応を面白がっているのか、目を細めて口元に手を当ててくくくっと笑いながら、私を指さす。


何故か本気になってしまい、「い、いないよ!」とどもりながら必死に言い返した。


「いひひ」と奇妙に笑い続ける中田の声にかぶさるように、アナウンスが入った。


そのタイミングに感謝した。



電車がくるみたい。



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