とびっきり、片思い。
たった今、勢い良く家の戸を開けた。
「ただいま!」
「おかえり。遅かったね」
母が奥の部屋から早速出てきた。
時計を見たら10時00分で、いつもより30分は遅い帰宅だ。
朝は早い出発で、夜は遅い帰りという落ちでございます。
「嬉しそうだけどなにかあったの?」
「ふふ~ん」
一呼吸置いてから言う。
「カナタと会っちゃったみたい」
口に出して言っても、まだずっと夢を見ているよう。
目の前の母は、口を半開きのまま固まった。
どうやら、話の内容を理解出来ていないらしい。
それとも、どこかで頭を打ったと思われたかな。
「未紗が、いつも好きだって言ってるあのカナタ?」
「うん」
キッチンの椅子に座って、あの夢のような出来事の話をした。