とびっきり、片思い。
スーパードッキン!##中田side##
俺の名前は、中田 友也(なかた ともや)。
東京生まれの東京育ちで、実家は八百屋を営んでいる。
2人姉弟で、5つ歳の離れた姉貴がいる。
そんな俺は今、恋をしているようだ。
何故、確信をもてないような言い方をするのかと言えば、この気持ちを認めるのが照れくさいからだ。
片思いの相手は、中学で同じクラスの新垣だ。
その名前は、心の中で唱えるように何度も繰り返したけれど、実際に口に出したことは一度もない。
“妖怪ツインテール”という、本当は思ってもないあだ名で呼んでいる。
その方がインパクトがあって新垣の記憶に残りやすいからというのと、呼ぶ度に他の奴には見せない表情を俺だけに向けてくれるのが、嬉しくて、いつの日か快感を覚えていた。
今日は、空手道場の近くにあるコンビニに入ったら、むすびの陳列棚の前に見覚えのある制服を着た女子がいた。
それが新垣だって分かった時には正直ビビッた。
ついに俺は、幻を見るようになるまで心を持っていかれたのかと、自分の目を疑いそうになって、数回手の甲で目をこすった。