とびっきり、片思い。


好きな奴とかいんのかな。


聞いても良いかどうだろうかと、気持ちは戦っていた。


知りたいような、知りたくないような微妙なところだったが、止められそうもない加速する思いが口から出た。


「そうだ。妖怪ツインテールってさあ」


「何よ?」


「好きなやついんの?」


「どど、どうしてそんな質問?」


少しだけ身体を反らし、顔を真っ赤にして、明らかに動揺している様子だ。


分かりやすい性格だな。



「うわっ!いるんだな。絶対いるな」


「い、いないよ!」



その瞳の奥にいるのは、誰なんだ。


俺じゃないってことは、何となく分かってしまう。


だから余計、弄って気を惹きたくなった。



俺の笑い声の裏には、届かないもどかしい思いがあることが、少しでも伝わっているだろうか。



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