とびっきり、片思い。
俺は急に自信を無くて、電車の中で黙り込んでしまった。
今、どんな気持ちで、新垣は真っ直ぐに前を見つめているんだろう。
窓の外から目を外さない、白い肌を持つその横顔が自然とこっちを向いて、目があってくれたらいいのに。
そう願ったけれど、その気配は一向に無かった。
首が動いたかと思えば、車中に貼ってある広告を眺めている様子だった。
再び窓の外に目をやる新垣のことを、俺は窓越しに見ていた。
一瞬目があったような気がした。
新垣は誰かを想っているのか、もしそうなら相手は誰なんだ?
学校の奴とか、もしかしてさっきのカナタだったりすんのかな。
君の感覚を俺にちょうだい。
そんなことを思って、心を覗き込みたい気分に駆られそうになったけど、結局駅の改札口で別れるまでの間、ほどんど口を開けなかった。
俺は臆病者だった。
中田Side fin.