とびっきり、片思い。



すると咲が言った。



「別に。オレは、桜姫とラブラブしたかっただけよ」



自分のことを“オレ”……って言うのだ。



咲には“私”より“うち”より、“オレ”が似合ってるとは思うんだけどね。


「へー、そうなんだぁ。良いよ。私だってラブラブす…ギャッ!」



桜ちゃんに抱きつこうとしたら、咲に突き飛ばされたけど、こういうのはいつものことで慣れっこだ。



「何すんのよー?!」



満足そうに意地悪な笑みを浮かべる咲に向けて、頬をふくらませて睨んだ。



「未紗が桜姫に触れるなんて、10万年早いんだよ!」

「10年ねぇ…」



呆れてしまう会話である。


だけど咲という人間が、本当は優しいことを知っている。



私が体育中に転けてケガをしてしまった時も、心配してくれて保健室まで付いてきてくれたこともあったっけ。




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