とびっきり、片思い。



あの時のことを思い出すと、知らない間に頬が緩んでいたようだ。



「うわっ!何一人でにやけてんの!?」


咲が大きな声で言って、ズズッと後ずさりをした。


それを他所に、私は桜ちゃんに向けて頭を下げた。


「今日もフルート特訓よろしくお願いします」


「こちらこそよろしく。私、未紗の音色が好きなんだぁ」



うわぁ、嬉しい!



咲は、この感動的な会話を黙って聞いていた。



ところで、吹奏楽部では、5ヶ月後の11月下旬に控える秋の演奏会に向け、本気モードで合わせ練習中なのですが……。


私は、フルートを構え出番を待ちながら、鼻の奥のムズムズした感覚と戦った。


しかしもう我慢の限界がやってくて、フルートを口から離した。


そして「へへッ、ヘイクションッ!!」と激しく一発。



あーう"ぅ


やっちゃったよ。




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