とびっきり、片思い。
信じられない出来事を確認するように言う。
「本当に?」
「本当よ」
母がしっかりと頷いたのを見て、これは現実だということを理解した。
「その撮影はいつ?」
「7月5日よ。一応、終日空けておいてって」
キッチンに行き、壁のカレンダーに手を伸ばそうとしたら、母が口を開いた。
「ただ1つ問題があるのよ…」
「修学旅行の中日だね」
母の言葉に被さるように言った。
撮影日はちょうど修学旅行の2日目だ。
カレンダーには、しっかりとハートのシールまで貼っている。
「答えを出すのは、未紗だと思ったからまだ返事はしていないわ.
今夜7時までなら待てるって、横田さん言ってたわよ」
壁の時計を見て確認すると、タイムリミットはあと1時間だ。
「少し考えてみるね」
私はそう言い残して、部屋に戻った。