とびっきり、片思い。
カナタ人形を棚から降ろして手に持ったまま、ベッドに腰掛けて考えを巡らせた。
このようなチャンスは、二度とないかもしれない。
母はよく「チャンスの女神に後ろ髪はない」と、言っている。
だから、今だ!って思ったら何が何でもそれを掴みなさいって。
だけど、このメンバーで修学旅行に行けるのも、これが最初で最後なのだ。
学校では、3日前から回る場所の下調べが始まった。
班員はくじで決定したんだけど、女子のメンバーは森りんと私だ。
あとは男子が3人。
みんなと一緒に旅行することが本当に楽しみ。
だけど叶うなら、彼にもう一度会いたい。
「ねぇ、どうするべきかな?」
手の中にいる笑顔の人形に向けて問いかけた。